ご挨拶

こんにちは。
 なにから話し始めればいいのか迷いますが……。実は、白井さんのサイト『守り人の洞窟』と、由良さんのサイト『夢見る魂の語り部』には、かなり前から、毎日のように訪れていました。
 お絵描き掲示板を見ては、皆さんのトンデモナイ「バルサ」や「タンダ」、女装が定着しつつある「シュガ」や、超カッコイイ(あるいはフリフリ・ダンスをしている)「チャグム」に、腹を抱えて爆笑していました。それに、例えば、ちぃさんの「親世代」や、近頃よく皆さんが描いてくださっている「子ども時代のバルサとタンダ」には、妙に物語書きの「書きたいツボ」を刺激されたりしています。土下さんや強矢さんの描くタンダも大好きで、「くそ暑い所で、バルサを想いながら、チョコをはむはむしている」DNDDタンダを見た時には、しばらく悶絶していました。切り絵風の絵や、青を基調としたイメージなど、芸術的な才能を感じる絵も大好きで、よく、しげしげと見入っています。

上橋さんのセルフ似顔絵

白井さんや由良さんの、誠実で、思いやりのあるサイト創りには、本当に心から感謝しています。もうずいぶん前になりますが、お二人にはメールでお礼を申し上げ、それからは、ひそかにメールのやりとりを続けてきました。
 「ひそかに」やっていた理由は、読者の皆さんが自由に語り合ったり、想像を広げたり、ギャクをかましたりしている<場>に、作者が顔を出すと、なんだか、その「自由な雰囲気」を壊してしまうような気がしたからです。
 物語は、世に出た瞬間に、私の手からは離れるものだと思っています。ですから、作者は、読者の集まりに顔を出して、ごちゃごちゃ言っちゃいけねぇ(突如、ベランメエでごめん)と思っていたわけです。(とはいえ、BBSで疑問が出てきたり、悪友が顔を出したりすると、つい出て行きたくなって、ムズムズするのを抑えるのが大変でしたが。)
 数回、「謎のウォンバット」という名前で書き込みしたり、エープリール・フールの夜中に、イタズラっぽい書き込みをしたりしましたが、バレてなかったようなので、楽屋裏からひょいっと顔を出して、にやっと笑って、ばれないうちに逃げた気分でおりました。

 でも、とうとう隠れているわけにいかない事情が発生してしまいまして、白井さんや由良さんとも話し合い、今日、カミングアウトをすることにしました。
 その「事情」というのは、11月に理論社から出版される予定の新作、『狐笛のかなた』の絵を、白井さんに描いていただけることになった、という事なのです。
 私は白井さんの絵が大好きで、ぜひ一緒に仕事をしたいと願い続けていました。その願いが、今回、ようやくかなったわけです。
 すっごくイイですよ、白井さんの墨絵風イラスト。弾けるような躍動感のある狐と、湿り気のある風を感じるような風景。守り人を描いてくださっている感じとは、また、一味違う白井さんの世界を、私は、読者の皆さんより一足先にどっぷり味合わせてもらいました。
 とはいえ、本が出版されてしまえば、私と白井さんとの関係(ひいては、由良さんとの関係)も、読者の皆さんにはバレバレになるわけで、そうなる前に、この二つのサイトに訪れてくださっている方には、きちんとご挨拶をすべきだと思ったのです。それに、これまで励ましていただいたお礼もしたいと思い続けていましたので、これがいい機会だろうと、ふんぎりをつけたわけです。

 さっきも書きましたが、物語は、世に出てしまえば作者の手を離れます。思う存分、遊んでください。著作権に触れることや、思いやりのない事は、絶対になさらない皆さんだと、信頼していますので、これからも、このサイトに、余計な口を出すつもりは全くありません。
 ただ、白井さんと(タコヤキをつつきながら)話し合って、しばらくの間、「会話コーナー」みたいなものを設けようか、ということになりました。
もし、これを機会に、「いっぺん、ウエハシに聞いてみたかった」というような事がありましたら、応えますんで、声をかけてみてください。

 みなさんに、本当に、感謝してます。どうもありがとう!! これからも、バルサたちを応援してください。

上橋菜穂子


上橋さんのセルフ似顔絵ウォンバット版