第42回野間児童文芸賞授賞式報告

とても盛大な授賞式でした。文芸賞と合同なので、とにかく招待客の方が多いです!作家さんと出版関係の方、記者さん、各種関係者の方が…200人くらい?審査員も角野栄子氏はじめそうそうたる面々でありました。上橋さんも今日はドレスアップ!黒ビロードの上下にでっかい受賞者のバラがきまってます。

講評の書かれた冊子が配られましたが、5つの候補作のなかでも完成度という点で圧倒的評価を得ていました。あまりにも隙がないために息苦しい、と書く方もいるほどありました(^^;

上橋さんの受賞の挨拶は「狐笛のかなた」を書こうと思ったきっかけについてでした。記憶力に自信がないので覚え違いのところもあるかもしれませんが大体のところを。

上橋さんはむしょうに異類歎に心引かれるところがあって、それは祖母に色々と面白いお話をきいてきたからではないかと。たとえば大きな山猫に育てられた子どもの話。

ただ、最近父親にきいたところ、それは作り話ではなく、「本当にあったこと」として話した筈だ、というのです。

赤ん坊が神隠しにあったようにいなくなった。それこそかまどの中までさがして、木の上をふとみると、布のようなものが下がっている。上がってみると、巣の様なものがあり、猫、それも家猫が赤ん坊を育てていた、という。

それが「事実」として話されていたということにびっくり、上橋さんの想像力でトトロの猫バスみたいなファンタジックなものにふくれあがっていたというびっくり。二重のびっくりな話でありました。

とまあ、そういう獣と人の垣根の低い時代があったのですね。

もうひとつは人と人の垣根。この垣根も高くなる傾向にある。アボリジニに白人のようになれ、と文化の垣根をむりやり叩き壊すような時代を考えると、そうでなくなったことはいい面もある。が、今は反対に「アボリジニらしくあれ」というプレッシャーが強くなっている。そんなふうに囲い込みの垣根を高くしていくことは人と人の理解を阻むのではないかと。

そういう心の垣根を少しでも下げて理解しあいたいという願いがあって「狐笛」を書くきっかけになったのではないかと思う…

そういうお話だったと思います。
(…私の誤解がなければ(^^;


その後の祝賀会では、上橋さんのお父様お母様とお話できました。受賞あいさつで上橋さんがご両親への謝辞をのべられていましたが、想像力を曲げる(抑える)ことなく伸ばして育てたご両親。あたたかさを感じる素敵な方でした。上橋さんは、愛されて育ったがゆえに自ら修行の旅に出たのでありましょう。ところで講演会等で常に笑いをとる上橋さんは、実家でもやっぱり面白いこと言ってお母様を笑わせてるらしいですぞ。なーんかいいなあ。

そんなこんなで上橋ファンの方への報告でした。
文章力がなくてすいません(^^;

文責:白井弓子