当サイトに来てくださっている茜さんによるトークセッションレポートが届きました!
上橋さんによるお話の内容は詳しくアップしないという「お約束」をふまえて
交流の様子やトークの楽しい雰囲気を伝えるイラスト入りレポートです。
なお文章や画像の無断転載や引用はお控えください。よろしくおねがいします。(守り人の洞窟・白井弓子)

トークセッション「ファンタジー言いたい放題」レポート

by 茜さん

 7月2日、ジュンク堂新宿店で開催されている「金原書店」のイベントで、翻訳家の金原瑞人店長と、作家の上橋菜穂子さんのトークセッションが行なわれました。

 私はものずきにも、関西から日帰りで行ってまいりましたので、ここに、簡単ながらトークセッションでのできごとを報告させていただきます。


会場は、ジュンク堂8階のエスカレーター横にある喫茶店。

2時半ごろから、はやばやと人が集まり始め、みなさま各々におしゃべりをしたり、壁面に展示してある『蒼路の旅人』の挿絵の原画に見入ったり。『蒼路の旅人』や『精霊の守り人』を読んでいらっしゃる方も、目にしました。

私は、早めに予約を入れていた甲斐あってか、最前列の席に案内されました!

大きめのテーブルをさしはさんだ向こうに、イスが2つ、小さいテーブルを挟んで置かれていて、(もしかして、ここにお二人が座るんだろうか?)と思うと、イスを見るだけでドキドキでした(笑)。



 以前掲示板で、ちぃさんと「お会いしましょうね」などと言ってはいたものの、名前も顔も知らず、手がかりは「同年代」のみ。

 どの方だろう、とキョロキョロしているとき、偶々横に座った方が同年代っぽく見え、「守り人ファンの方ですか?」と、話しかけてしまいました。(我ながら、変なところ積極的です。)

 ――私の「守り人」に対する勘(執念ともいう)は時に異様に鋭くなる、とは自分でも思っていたことなのですが、まさか、会場で一番はじめに話しかけたこの人がちぃさんだとは、思いもよりませんでした。

 ちぃさんとは、お話しているうちに本名を名乗りあったのですが、どうやらその名前に見覚えがある・・・。そう言うと、ちぃさんが「もしかして、去年○○(予備校名)にいなかった?」と。

 はい。もうおわかりでしょう。名前に覚えがあるはずです。去年、私たちは予備校で同級生だったのです。同じ教室にいながら、あまり(というより全然)話したことがなかったので、再会してもすぐには気づかなかったのです。

 4年越しの付き合いのオン友が、まさか同級生だったとは!とんでもないニアミスをしていたんだなぁ、と今さらながらに思います。(あとで上橋先生にもこのことをお話ししたのですが、やはり、驚いておられました。)

運命ってこういうものなのだろうか。何という偶然!と、トークセッション前からテンション上がりっぱなしでした。掲示板の方で、「びっくりすることがありすぎて〜云々」のことを書きましたが、そのびっくりのなかでも、一番がこれかもしれません。



さて、時間になり、金原店長と上橋さんが登場されました。金原店長は、例の、ジュンク堂店員のエプロン姿で。よく似合っていらっしゃいました(笑)。



会場が縦長だったので、「座っちゃったら、後ろの人、見えないでしょ?1時間立ったままでしゃべろうか?」とおっしゃりつつも、結局、前の小さなテーブルに腰かけることに落ち着いて、トークが始まりました。

・・・この情景をお伝えできれば、と思うのですが、写真は撮れなかった(というより、まずカメラが無かった)ので、帰りの新幹線の中、必死で思い出しながらスケッチしていました。

かなり曖昧な記憶を元に描いています。「こんな服じゃなかっただろう!」とか、「似てない!」とかいう点は、この際スルーしてやってください;(金原店長がこんなポーズなのは、何度も髪をかきあげていらっしゃったのが、妙に印象に残ったからです。笑)

しつこいようですが、どうか、細部は気にしないでください。お願いいたします;



トークセッションについて、あまり詳しい内容には触れない、という「お約束」がありますので、どんな話題が出たかだけ、簡単にご紹介いたします。

まず、エミュー肉やカンガルー肉(もちろん食材としての)の話。アボリジニの話が始まったあたりで、「もしや、このまま1時間、文化人類学トーク・・・?」と不安になったのですが、そこはプロ。さっと見事に、ファンタジーの話につながっていきました。

映像化、という話から『ゲド戦記』の話が出ました。(金原店長は、ジブリの映画の試写会に行かれたそうです。いいなぁ。)

そして、当然『守り人』にも話が及びました。「守り人映像化秘話」のようなものはありませんでしたが、神山監督とは「大人をかこう」という意見の一致をみた、とおっしゃっていました。(このくらいなら、ネタばれは大丈夫ですよね・・・?アニメのインタビュー映像でも、似たようなことは言っておられたし。)

『指輪物語』、『攻殻機動隊』、『ゴジラ』の話など、本当にさまざまな方向に話題が飛びました。大抵のネタはわかるのですが、『ゲゲゲの鬼太郎』の白黒版の話が出たときは、ジェネレーション・ギャップを少し感じてしまいました(笑)。



時間が半分ほどきたあたりで、「せっかくだから質問タイム」ということになりました。参加者の質問を受けて、それについて話していこう、というような趣旨です。上橋さんが答えつつ、金原店長がどんどん話題を広げてゆく、という見事な連係プレーでした。

出た質問は、スタンダードな

「『ジャゴー』などの、名前はどうやって付けるのか?」

「新ヨゴやカンバルの、モデルとなった国は?」

「戦闘シーンはどうやって考えているのか?」

などから、

「作中のおいしそうな食べ物のモデルは?」

「デビュー作『精霊の木』と、『精霊の守り人』。どちらも《精霊》がつくのは?」

「『上橋書店』という企画があったら、どんな本を置きたいか?」

など、今回のイベントならではの質問も出て、大いに盛り上がりました。

 ちなみに、私は「ユグノの歌や、ロタの祭儀のときの音楽や、サンガルの新王即位ノ儀の場面のとき、脳内に音楽は流れているのか?」という質問をさせていただきました。



この他にも多数の質問があがり、大いに盛り上がって、1時間のトークセッションは終了しました。

終わってから、「ええと、このセッションの題って何だっけ?・・・そうか、『ファンタジー言いたい放題』だった!」と思い出し、確かに言いたい放題されていたなあ、と納得しました(笑)。

会場に笑いがあふれ、楽しい雰囲気のイベントでした。

セッションには、ゲストとして、『旅人』シリーズの挿絵を描かれた佐竹美保さんや、作家の森絵都さんなどが会場にいらっしゃいました。おお、この人が!と感動。ファンにとって、思いがけないプレゼントとなりました。あと、偕成社の編集部の方ともお会いできました。



第一部のトークセッション終了後、金原店長と上橋さんのサイン会が、7階のエスカレーター横にある「金原書店」で行なわれました。

 私は『狐笛のかなた』に上橋さんの、ローズマリ・サトクリフ著『黄金の騎士フィン・マックール』に金原さんのサインをいただきました。そのとき、金原店長に握手していただきました(^^)。

サイン会終了後、ハイジさん、うりるりさん、taさん、さまよひさんなどにお会いして、お話しすることができました。のぶさん、oshimaさんも、あとからどの方だったのか判明しました。お話できなくて残念です;



この第一部と第二部の間に、上橋さんとお話しする機会が持てました。そのとき、ファンレターと一緒に、この前お絵かき掲示板に投稿したバルサの切り絵をプレゼントさせていただきました。

(この絵のことです)

上橋さんに喜んでいただけて、うれしかったです。

 ちぃさんにも切り絵をプレゼントしました。「ちぃさん、ジグロ好きですよね?」ということで、ジグロの切り絵を。こちらは、ちぃさんのほうでアップしていただく手はずになっています。(こちらのほうにちぃさんがスキャンしてくださったものをアップしました・白井)



そして、ミニスケッチブックを持っていっていた私は厚かましくも、ちぃさんに頼んで、その場で絵を描いていただきました。



ちぃさんのお好きなキャラを、ということで、若い頃のジグロと、『精霊の守り人』の頃の、まだ頼りなくひ弱な(笑)、幼いチャグムを。

 ちぃさんの許可がおりたので、ここにアップさせていただきます。

 シャーペンでささーっ、と描かれただけなのに、すばらしい仕上がりです。スキャン技術が拙くて申し訳ありません。

ちぃさん、ありがとうございました。大切にします!



 今回、トークセッションは二部構成ということで、第一部のゲストが上橋さん、第二部のゲストがやまねこ翻訳クラブの方でした。

第二部の「ファンタジーって、何だよ?」にも申し込んでいた私は、当初参加予定のなかったちぃさんを、なかば強引にお誘いしました。ちぃさん、付き合ってくださって、ありがとう!

クラブの方が翻訳された本や、さまざまな海外のファンタジーの紹介があり、どこまでをファンタジーと呼ぶのか?など、まさに「ファンタジーって、何」なのかを考える時間となりました。

上橋先生も、質問タイムに、日本と海外のファンタジーブームについての質問をぶつけておられました。

第一部に比べ、落ち着いた、和やか〜な雰囲気のセッションでした。





とても充実した一日でした。遠くから馳せ参じた大変さに、見合う以上の価値がありました。

今回、会場でお会いした方、お会いできて本当にうれしかったです。いつかまた、お会いしましょう。

また、近場でこういう機会があれば、参加したいと思います。

今回、こうした場をファンに与えてくださった金原店長、上橋さん、やまねこ翻訳クラブの方々に、心から感謝しています。

本当にありがとうございました!

                    2006.7.3 茜


ちぃさんんいよる同イベントのレポートはこちら


守り人の洞窟